大人になる

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仕事中、同い年の同僚に、「30歳になった時、30歳になっちゃったか〜って思いませんでした?」って聞いてみた。そしたら、彼女は「わたし、30歳になった日、めっちゃ嬉しかったです。子どもの時から30歳は大人って感じで憧れていたし、自分は20代より30代が似合うと思ってました。30歳になったら20代より自分の言葉に説得力が出ると思うから。」と言った。年取るのやだっていう価値観を無意識にコピーしてた自分が恥ずかしくなった。

翌日、小学校からの友人への出産祝いを買うために、名古屋のデパートへ出かけた。ネットで色々検索してたけど、贈り物は実物を見て買いたいなって思ったから。初めて入る「ファミリア」は、やわらかいピンクやイエローやくまやうさぎであふれていて桃源郷だ…と思う。店員さんに出産祝いを買いたいと伝えると、てきぱきと提案してくれる。置いてある商品はネットと同じなんだけど、やっぱりお店に来て、店員さんに話を聞くと、それぞれの商品の位置付けがはっきりした解像度でわかる。やっぱり街に出ないと何もわかんないなって思う。

色々迷った結果、くまの耳のついたバスタオルとスタイと卵ボーロを入れるおやつケースにした。包んでもらっている間、店内をぶらぶら見た。柔らかそうなガーゼの生地にリボンやフリルのついたキュートな服ごしにある窓ガラスから、雨の降る名古屋の街をぼんやり眺めていた。その瞬間、「あ、わたし、大人になったんだ」という感慨が急にきた。自分が稼いだお金で、大切な友人にくまちゃんのついた出産祝いを買って、それを包んでもらってる今、この瞬間のわたしは大人で、大人になってよかったなと実感した。こういう実感は生まれて初めてだったかもしれない。その時同時に、ずっと一緒にいた友達たちがお母さんになって、自分の居場所を作って、別の道を歩いていくんだなあ、というさみしさも感じていた。でも、そういう小さなハートの痛みといっしょに、プレゼントを包んでもらうのを待ってる時間は贅沢な「大人」の時間だと知った。